「技術を探索しながら、新しい価値をつくる」──生成AIで大企業の業務を変革する“導入コンサルタント”という役割
2024年6月にリリースした生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」は三菱UFJ銀行様、三井物産様に導入いただくなど、大手企業での活用が進んでいます。
大手企業が「生成AI」という新しい技術を使いこなすために、“導入コンサルタント”として必要な支援・サポートを手がけているのがAI・LLM（以下、AL）事業部のPjMチームです。
従来のコンサルティングとは異なり、「日々変化していく生成AIの技術可能性を探索しながら、お客様と一緒に新しく価値をつくっていくのが醍醐味」──そう語るのは、PjMとして働く小林誉幸と山賀美裕の2人です。“導入コンサルタント”として大手企業と向き合う楽しさはどこにあるのか。2人が取り組む生成AI時代のコンサルタントのあり方に迫ります。
AL事業部に入り、新しい挑戦をすることにしたワケ
──改めて、LayerXに入ったきっかけを教えてください。
小林：前職の弁護士ドットコムでは執行役員として、主に電子契約サービス「CloudSign（以下、クラウドサイン）」のグロースをミッションに、事業戦略やプロダクトマーケティングを管掌していました。
プロダクトのグロースには一定貢献できたものの、自分の中には事業をゼロから立ち上げていきたい思いがあって。クラウドサインの黒字化を実現し、キャッシュエンジンになった段階で自分の役目を次の人にバトンタッチし、次のキャリアの機会を探し始めていいかもしれないな、と考えていたんです。
そんなタイミングで注目したのが、生成AI（LLM）でした。生成AI（LLM）はリーガル領域とも相性が良いこともあり、弁護士ドットコムも割と早いタイミングで「Professional Tech Lab」を立ち上げ、リーガルと生成AIをかけ合わせたプロダクトの社会実装についての研究開発を進めていたんです。
当時、とあるイベントに参加したら、松本さん（LayerX代表取締役CTO）に偶然お会いして。実際に話をしてみたら、「すごく面白い人だな」と思い、LayerXに興味を持ちました。
当時、LayerXもAL事業部の前身となる「LayerX LLM Labs」を立ち上げたばかりで、初期メンバーを探していたんです。自分としては、ゼロイチができる良い機会だなと思い、「この縁は掴んだ方がいい」と思い、LayerXに入ることを決めました。
山賀：前職のオプトではデータアナリスト・CRMコンサルタントとして、5年ほどアパレルブランドや商業施設のデジタルマーケティング支援を担当していました。
その後、新規事業支援のプロジェクトマネージャーも担当していたのですが、その事業が会社の戦略変更の関係でクローズすることになって。個人的にはひと区切りついたタイミングだったので、そこで次のキャリアについて考え始めたんです。2024年4月くらいだったと思います。
当時、生成AIがすごく盛り上がっており、新しい事業・プロダクトは新しい技術から生まれると思い、AI関連の企業を中心に転職先を探していたんです。
そうした中、LayerXは自社でプロダクトを開発しており、なおかつ大手企業に特化してプロダクトを提供しようとしていて。これまで大企業のお客様のマーケティングや新規事業の支援を経験してきたので、その経験を活かしながら生成AIの領域で新しいチャレンジができそうと思い、入社を決めました。
探索しながら新しい価値をつくる、新時代のコンサルティングモデル
──AL事業部は生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」の提供に加えて、導入コンサルティングの役割があるのが特徴的です。お二人は導入コンサルティングの面白さ、やりがいはどこにあると感じていますか？
小林：生成AI（LLM）の技術は加速度的なスピードでどんどん進化を遂げていて、リリース当時は技術的にできなかったことが、今では実現可能になってきています。
技術進化に合わせて、お客様のやりたいことの幅も広がっていくので、決まったオペレーションを効率的に回していくコンサルティングというよりは、お客様と一緒に探索していきながら新しい価値づくりをしていくコンサルティングが求められるのが特徴です。
ゼロから価値を探索するという意味では、個の力も必要になるので、そこは面白いポイントだと思います。
山賀：AL事業部はAi Workforceという技術基盤があることが、導入コンサルティングの面でもすごく強みになっています。さまざまなお客様からのフィードバックでAi Workforceは日々アップデートしていくため、実業務でAI活用するために必要な汎用的な機能がどんどん搭載されていきます。
また、新しいAIモデルや機能が公開されると、数日でプロダクトにも反映され、すぐに検証を始めることができます。技術的な基盤やサポートが整った上でコンサルティングができるので、「新しい価値を生み出していきたい」「新しい技術を使って何かしたい」という人にはすごく魅力的な環境だと思います。
──お二人とも、それぞれバックグラウンドが異なります。コンサルティングファーム出身ではない中、過去のどのような経験が今に活きていると思いますか？
山賀：データアナリストとしての経験は、今に活きているなと感じます。データ分析によって、イシューを特定・分解する。そしてアウトプットをつくるためのプロセスを設計したり、データの前処理をしたりするという業務の内容は生成AI（LLM）の活用においても大きく変わらない部分なので、これまでの経験を活かして働けています。
もうひとつは、新規事業支援のプロジェクトマネージャーを担当していたときに、不確実性が高い中でどうやって新しいチャレンジを実現するのか。ゴールを達成するための計画の立て方、スケジュールの組み方、人の巻き込み方などは実際に経験しながら学べました。
今のプロジェクトマネージャーの仕事も、お客様のやりたいことをどう実現するかを考えることが求められるため、当時の経験がすごく活きていると思っています。
小林：これまでの自分のキャリアは、“スーパーゼネラリスト”な感じで割と幅広く、いろんなことをやってきました。言い換えるなら“何でも屋”という感じです。
この“何でも屋”としてやってきた経験が、今に活きているなと思っていて。特にAi Workforceはプラットフォームでもあるので、幅広くいろんな業務に必要とされる側面があります。選択肢の幅が広いので、技術のキャッチアップも含めて探索的にいろんなことに手を出していく動き方が求められる。
考えるよりも先に未経験でもまずはやってみて、経験から学びを得ていくという意味では、“何でも屋”として動いてきた経験がすごく活きているなと感じますし、ゼネラリストの人にはすごくフィットする領域だと思います。
──世間一般がイメージするコンサルティングとは違うかもしれないですね。
小林：そう思います。もちろん、自分たちもプロフェッショナルとしてお客様と向き合ってはいるのですが、技術進化のスピードが早い分、どんどん出来ることも増えていくので、明確な答えというものがない領域でもあるんです。正解が見えていないからこそ、新しいチャレンジによる失敗を許容してくれるお客様も多いので、そこは面白さでもあります。
大手企業の方々と“ワンチーム”になって取り組む楽しさ
──大手企業の業務に深く入り込んでコンサルティングできる、というのもすごく珍しい気がします。
小林：規模が大きく、難易度も高い案件に対して、自分のプロジェクトマネジメントの差配次第で結果が大きく変わってきますし、継続的な案件になるかどうかも決まる。つまり、事業の収益を生み出すことにつながるわけです。個人の力量が試されると言いますか、自分の振る舞いひとつで事業の成否が変わってくるのが、この仕事の醍醐味ですね。
山賀：大手企業の方々と“ワンチーム”になって取り組んでいる感覚はあります。クライアントとコンサルタントという関係性よりかは、AIを活用した業務効率化・高度化という目標に向かって、一緒にAI時代の新しい業務プロセスづくりができているのが楽しいですね。
──大手企業の導入も進むなど順調に事業も進捗しているかと思いますが、何か課題に感じている部分はあるのでしょうか。
小林：とてもありがたいことに、Ai Workforceをリリースしてからたくさんの引き合いをいただいています。ただ、こちら側のリソースが不足しており、お客様のニーズに応えられるだけの体制が築けておらず、泣く泣くお断りしてしまっているケースもあるんです。
すごく面白そうな機会が目の前に転がっているし、お客様の悩みもすごく分かるのにリソース不足で期待に応えきれていないのは課題だなと思っています。
山賀：「人が足りていない」というのが1番大きな課題ですね。どんどん出てくる新しい技術を使って、新しい解決方法や新しい機能をつくって、お客様に提案していくということもやっていきたい思いはあるのですが、なかなかできていないのが現状です。
小林：AL事業部の導入コンサルティングならではの面白さにもつながるのですが、お客様に価値を提供するコンサルティングサービスだけではなく、社内の作業やプロセス、コンサルティングサービスの内容自体も生成AI（LLM）を使ってもっとリッチにしていきたいと思っていて。
そういったメニュー開発、ツール開発ができる人材も絶対に必要。ただ、現状は引き合いが多く、導入コンサルティングにリソースを割いている状況なので、今後はもっと社内のレベルアップを図るための活動にもリソースを使っていけるようにしたいです。
フロンティア感がある領域で新しい挑戦をしたい人には最高の環境
──お二人はどういったバックグラウンドの人たちと一緒に働きたいですか。
小林：コンサルティングファーム出身の方とデータアナリストの方は活躍できると思いますし、すごく一緒に働きたいですね。なぜかと言うと、2つの職種は極めてゼネラリスト的と言いますか、お客様のことも理解してプロジェクトも上手く回せる一方で、技術的なことにもアンテナを張っていて、それをいかにビジネスに適用できるかを考えているからです。そういったビジネスと技術の両方をバランスよく見られる人をすごく求めています。
AL事業部では技術に特化した人はエンジニア、ビジネスに特化した人はBizDevチームがあるのですが、自分たちのチームは両方のバランスが取れていて、なおかつ適切にジャッジができる人というのは活躍できると思います。
この仕事は最後に決断を求められる機会が多いんです。極めて不確実性の高い領域におけるコンサルティングをやっているので、お客様としっかり信頼関係を構築して、最後に「こうしましょう」という強い意志を持って言える人と働きたいですね。
山賀：小林さんが言ったことに少し付け加えると、私の場合はアンラーニングできる人と一緒に働きたいです。生成AI（LLM）などの新しい技術が出てきたとき、今までと同じやり方で物事を考えていては通用しない部分がある。新しい技術を”どう使うか”という考え方を持たないといけないので、アンラーニングは必要になるかなと思います。
あとは、きちんと「あるべき」を考えられるかは重要ですね。いろんなドメインの企業、事業部の方々と一緒に仕事をするので、いろんな意見をいただきます。そういった意見を踏まえ、本質的な課題を見極め、どの課題を解決すればプロダクトの汎用的な価値が生まれ、多くの顧客や業務の改善につながるかを考える。
私たちは事業部の中で1番お客様と密に接するからこそ、「あるべき」を考えることは忘れてはいけないと思っています。その姿勢があれば、お客様も社内のメンバーも理解してくれるし、実現方法を一緒に考えてくれる。
「お客様にこう言われたから、こうする」ではなく、責任を持って「あるべき」を考える。自戒も含めてになりますが、その姿勢は持ち続けていたいですし、そういう人と一緒に働きたいと思います。
──ありがとうございます。最後に採用候補者に向けてメッセージがあればお願いします！
山賀：新しいチャレンジができる機会というのは、世の中のタイミングもあると思っていて。そういう中で、これだけ技術がすごい勢いで発展していて、なおかつ社会全体でその技術を活用しなければいけないという意識がある機会はそうそうない。このタイミングだからこそ、AIを活用した業務のあり方を考えられるので、すごくやりがいはあると思います。
小林：LayerXに入社してから1年半が経ちましたが、この1年半が社会人キャリアの中で最も勉強していると思います。生成AI（LLM）の領域はグローバルで研究開発とビジネス活用が同時並行で進んでいて、明日何が起こるか分からない部分がある。最新の情報や他社の動向は常に調べなきゃいけないと思っています。
技術進化によって、やれなかったことがやれるようになるなど、一夜にしてゲームのあり方が変わる瞬間に立ち会えるのはヒリヒリもしますが、その分楽しさもあります。そういう変化や不確実性、フロンティア感のようなものを楽しめる領域は他にない。
またフロンティア感がある領域はビジネスにならないことが往々にしてあるのですが、生成AI（LLM）の領域に関しては上手くやれば、グローバルで勝てるサービスを生み出せる可能性があります。そういうフロンティア感が味わえる領域で新しい挑戦をしたい人には面白い環境だと思います。
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