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生成AI時代の新しいデザインの基準がつくれる──いま、LayerXが求める未知の概念に向き合うデザイナーとは【松本×野﨑】

ChatGPTを筆頭に、生成AIの技術進化が加速している昨今。その影響はデザイン領域にも波及しています。そうした状況を踏まえ、「デザイナーとして新しいデファクトスタンダードをつくれる面白いタイミング」と話すのは、LayerX 専門役員 デザイン担当の野﨑 駿です。

LayerXでは業務効率化クラウドサービス「バクラク」シリーズで、バックオフィスに特化したAI機能群「バクラクAI」を開発したり、生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」を展開したり、全社的に生成AIの活用に力を入れています。

生成AIの活用によってデザイン、ひいてはデザイナーの可能性はどう広がっていくのか。LayerXが考える「生成AI×デザイン」がもたらす新たな価値、広がる可能性について、野崎と代表取締役 CTOの松本勇気の2人に話を聞きました。

マネジメントの基盤ができ、組織としての強度が上がった2024年

──今年2月に公開されたnoteにも書かれていますが、この1年でデザイナーの人数も増えました。改めて2024年のLayerXのデザイン組織を振り返ってみて、いかがですか。

野﨑:2023年からデザイナーの採用に力を入れ始め、プロダクトデザイナーだけでなく、コミュニケーションデザイナーやブランドエクスペリエンスデザイナーなどさまざまな領域のデザイナーが増え、デザイン組織全体で1.5倍の人数になりました。

そうした背景もあり、今年はマネージャーの役職ができ、デザイン組織としての強度が高まった1年だと感じています。今まではマネジメントの基盤もなく、自分がミドルマネージャーのような役割を担い、マネジメントもしながら現場で手を動かしていく感じだったんです。

そうした中、マネジメントの基盤もでき、デザイン組織として取り組めることの幅も広がったことで、いろんなアクションができました。今年は「バクラク」ブランドのリニューアルや「バクラクAI」のブランド開発など、会社にとって大きな変化をデザイン起点で任せてもらえたのは良かったと思います。それによって、事業の成長にも寄与できている感覚があるので、そこはデザイン組織にとっても良い出来事でした。

また、今年になって如実に感じているのは。「LayerXにデザイナー組織がある」という認知が広がってきていることです。今までの採用はリファラルやスカウト、エージェント経由が多かったのですが、最近はオーガニックで応募してくれる人が増えていて。デザイン組織全体で情報発信に力を入れてきて、すごく良かったなと思いますね。

──松本さんから見て、2024年のデザイン組織はどうでしたか?

松本:「マネジメント機能をつくり、組織化していく」ことをミッションに掲げていたので、そのミッションは達成されてきているのかなと感じます。これまでは、とにかく全員で手を動かして、必死に目の前のアクションを取っていく感じだったのですが、この1年で組織として戦略を立てながら、大きいアクションを考えられるようになってきた。戦略的にデザインに取り組む基盤ができた1年になった、という感じがします。

生成AIによって、新しいデザインプロセスが生まれていく

──2024年はChatGPTなどを筆頭に生成AIの進化がすごかった1年でもあったと思います。野崎さんは生成AIの盛り上がりをどのように見ていますか。

野﨑:今まで自分が手を動かしてデザインしてきたこともあり、生成AIにはちょっとした恐怖を感じつつも、生成AIと共にデザイナーが進化していかなければいけないと感じています。

その点において、LayerXはテクノロジーに投資していく“Bet Technology”を行動指針に掲げているため、生成AIとデザインを掛け合わせていくことで、デザイナーがどう変化していくかも少しずつ見えてきたものがあります。自分の中でも生成AIを活用しながら、どうやったら価値が出せそうかがわかってきたので、手応えを感じつつあります。

単純作業やデザインのパターン出しなどは生成AIに任せていくことで、より戦略的な部分や創造性が高い部分に時間を割けるようになっていくと思います。

LayerX 専門役員 デザイン担当の野﨑 駿

松本:今までは“デザインの答え”を探すのって、すごく難しかったんです。いろんなデザインが世の中にあり、例えば「Aパターン」で試してみたけれど、実は「Zパターン」に良いものがあったんじゃないか、という“探索”をたくさんしないといけない。

この探索のスピードを高めていくのが生成AIの強みのひとつです。生成AIは、すぐ使えるデザインのアウトプットが出せるわけじゃないんですが、少なくともドラフトをつくったり、方向性を考えたりするという意味ではすごく良いツールになりました。

例えば、ユーザーインターフェースを考えるときに、代表のfukkyyが「v0(ブイゼロ)」を使って、ひたすらプロトタイピングをしてるんですよ。今までは1つのプロトタイプをつくるのにすごく時間がかかっていましたが、生成AIによってプロトタイプをつくるまでのスピードが短縮され、誰でも一定のモノをつくれるようになった。そういった点を踏まえると、これから新しいデザインプロセスが生まれてきそうな感覚があります。

──LayerX内におけるデザイナーの役割にも変化がありそうですか?

野﨑:プロダクト開発やクリエイティブ作成など、根本の部分は変わらないと思っています。意義をどう作っていくか。サービスの価値やニーズをどう探索するかは今までもやってきたことですし、これからも続けていきますが、探索を補助するツールとして生成AIを使うかはデザイナーとして、きちんと向き合っていかなければいけないと思っています。

意外と、日本ではまだ「生成AI時代のデザイナー像」に関する話って出てきてないんですよね。そうした中、LayerXのようにテクノロジーやデザインに関する理解があり、それを積極的に活用していくムーブメントがある会社は珍しいと思います。

そして、それが現場だけでなく経営陣も主体となって取り組んでいる会社はなかなかないと思うので、生成AI時代の新しいデザイナー像を定義していける土台があるな、と感じます。

松本:LayerXは「最先端のテクノロジーを活用して生まれる新しい体験を、なるべく多くの人に届ける」ことが成功パターンになっており、プロダクト開発にDNAに組み込まれているんです。

例えば、OCR機能に関して言うと、OCR機能をより良いユーザー体験に繋げていくという思いがあったからこそ「AI-OCR」が生まれ、そしてそれが今は「バクラクAI」となり、AIを中心に据えた機能開発に繋がっていっています。

「この体験が誰にとって、どう良いのか」という話は、意外と机上の空論になりがちなんですよね。大事なのはまずは作ってみて、ユーザーに使ってもらい、フィードバックをもらって体験をブラッシュアップしていくことです。

これができると、面白いプロダクトづくりができるようになると思っています。そのためにも必要となるのは“手数”で、それをサポートするツールとして生成AIをどう活用していくか。それがこれからのデザイン組織の新しいミッションになっていきますし、LayerXはそこにいち早く取り組んでいきたいですね。

LayerX代表取締役 CTOの松本勇気

デザインの力で、Ai Workforceの価値は何十倍にも高められる

──生成AIの活用という観点では、AI・LLM事業部(AL事業部)の存在も大きいと思います。AL事業部については、いかがですか?

野﨑:AL事業部が提供する生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」は大手企業にも導入されるなど、プロダクトとして成果が出始めていますが、デザイン面ではまだまだ手を入れていく部分はたくさんあると思っています。プロダクトのUI/UXもそうですし、Ai Workforceの価値をお客様に伝えていくコミュニケーションデザインもそうです。

デザインの力でAi Workforceの価値を何十倍にも高められる余白があるので、伸び代しかないですね。生成AI時代のデザイナーのあり方やデザインの作り方なども考えられる面白いフェーズですし、リソースに余裕があったら自分がデザインをつくりたいくらいです(笑)。

松本:Ai Workforceはまだまだ課題しかないです。実を言うと、Ai Workforceのユーザー体験はエンジニアたちが「v0」などのいろんなツールを駆使して、自分たちなりにUI/UXを検証し、それをお客様に使ってもらい、いただいたいフィードバックをもとに改善を重ねてきました。

その結果として、今のAi Workforceがあり、一定の評価もいただいているのですが、まだ最初の一歩目を踏み出しただけで、目指す姿からは程遠い状況です。

zakkyが言ったように、デザインの力を加えていくことで、Ai Workforceの信頼性や使いやすさが何十倍にも上がると思っています。大手企業に導入いただくなど、現時点でここまで面白いプロダクトになっているので、Ai Workforceはものすごいポテンシャルを秘めています。

そのポテンシャルをデザインの力で何十倍にもしていくのが2025年のフェーズだと考えていますし、デザイナーとして携わる魅力がある面白いフェーズになると思います。

未知の概念にデザインを与える、Ai Workforceでしか味わえない面白さ

──デザイナーから見たAi Workforceの面白さ、魅力はどこにありますか?

野﨑:プロダクトデザインやコミュニケーションデザインなど、今までデザイナーがやってきた領域とは全然違う領域だと思っています。

例えば従来のプロダクトUIはある程度、確立されたプロセスやデザインのパターンもできてるし、どういう感じで作れば良いものができるかが型化されていると思います。ただ、Ai Workforceや生成AI中心のプロダクトはその型が何もないので、そこが面白さと言いますか、新しいデファクトスタンダードを作れる部分が最大の魅力ですね。

生成AIを活用したプロダクトは国内でもいくつかありますが、基本的にはひとつのドメインに絞ったものが多いです。Ai Workforceはお客様の事業領域もさまざまなので、ユーザー体験やコミュニケーションデザインを作る考えの幅も結構ありますね。

松本:Ai Workforceはまだ製品としてのカテゴリーがないですからね。何というプロダクトカテゴリとして、人に伝えていけばもっとわかりやすくなるのか、という答えを持っていない。抽象的な機能をたくさん備えているからこそ、取り組めることの幅はとても広いんです。

だからこそ「これだ!」という、しっくりくるコミュニケーションデザインがやりきれていない。これは多分、生成AIを活用したプロダクトのデザインが“未知”のものだからなんです。

きっと、スマートフォンアプリが出たときも、そうだったと思います。今はスマートフォンアプリが出てきたときのような新概念に向き合っているフェーズで、その新概念をグラフィックとテキストでどう表現するのか。どういうクリエイティブで伝えていくとわかりやすいのかを考え、そこに向き合っているのがAL事業部です。

未知の概念に名前を与える、デザインを与える体験はなかなかできないと思います。それができるのは今くらいのタイミングです。誰も答えを持っていない領域のところに、自分たちで答えを探しに行く。そういう未知っぽさと向き合うのはすごく面白いですね。

野﨑:スマートフォンアプリと同じように、生成AIを活用したプロダクトのUI/UXデザイン、コミュニケーションデザインも一定の時間が経つと、ガイドライン化されていくはずです。

そのガイドラインが出来る前に、自分たちがガイドラインをつくっていく。後世に語り継がれるような新しいUI/UXの発見をしていく感じ。今ジョインするのと、3年後にジョインするのとでは見えている景色が全然違うんだろうな、と思います。

松本:​​Ai Workforceはプロダクトとしてお役に立てることの証明ができたと思ってます。2025年以降は、その価値をもっと広げていきたいです。そのためには、Ai Workforceを使い始める際の使いやすさ、実際に毎日触るときの使いやすさを突き詰めていかないといけません。

また、グローバル展開もやっていきたいと考えています。そういった意味でもAL事業部は2025年以降、非常に面白いフェーズに入っていくと思います。

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