「デザインの力でLayerX流を作る」つくりはじめたデザインイネーブルメント
こんにちは、すべての経済活動をデジタル化したい LayerX 石黒です。
前回に引き続き、Podcast「LayerX Now」の内容を再編集し、CTOの松本勇気(@y_matsuwitter)デザインマネージャーの野崎(@Za09313103)の対談をお届けします。
今回は、LayerXにおけるデザインの意義や、デザイン面からアプローチしていきたい課題など、経営とデザインについて語ってもらいました。
LayerXのデザイン課題を赤裸々に語る
松本:野崎さんが着任して1ヶ月の間に、非常にたくさんのチームにヒアリングしていただき、その結果を元にLayerXのデザインイネーブルメントの取り組みを始めたんですが、そもそもこの取り組みをするに至った背景を教えてもらえますか。
野崎:デザイン面での課題感やその粒度を知るために、いろんな部署の職種の方と1on1をさせてもらって、そこで出てきた課題をデザイナー合宿で整理しているところなんですが、大きく分けると、ブランディング、プロダクト、マーケの3つの観点があると思っています。
ブランディングで言うと、LayerXというブランドとプロダクト群の体系化や区分けができていないのが課題で。今後、コンパウンドスタートアップとしていろんな事業をどんどん出していくとなったときに、どこまで「LayerX」のブランドを意識するのかや、ブランドアセットの定義をどうするのかなどが、まだまとまっていない状況です。
プロダクトは、これまでユーザー体験を強みにしてきていて、実際それが価値ではありつつ、今後いろんな競合プロダクトが出てきたときに、どこで差別化をして、どこで選んでもらうのかが重要になってくるので、今から手を打っておきたい部分ですね。
松本:全体の整合性ということなんでしょうか。LayerXは確かにちょっと特殊な会社ですよね。「LayerX」という会社のなかに、Fintechの事業のバクラク、三井物産・デジタルアセット・マネジメント、プライバシーテックと3つのブランドがあって、そのなかで共通して持つべきものを意図的に整理せずに走ってきた部分があるので、ちゃんと整理しておくべきフェーズが来たのかなと。
野崎:そうですね。この1年でもメンバー数もすごく増えて、プロダクトもどんどん増えて、進化している。事業のスピード感もめちゃくちゃ早い。今すぐに大きな影響が出るかというと、そうではないにしても、いずれ大きな課題になってしまうと思うので、デザインの面からアプローチしていきたいと思っています。
文化を作ることに投資することがLayerXのデザイン経営
松本:デザインが不整合なまま走りつづけると、どういった問題が起き得るんでしょうか。
野崎:指針がない状態でプロダクトがどんどん増えていくと、属人的な意思決定の下でそれぞれのプロダクトが走っていってしまいがちです。そうすると、それぞれのプロダクトに少しずつ差が生まれ、それが蓄積されるとプロダクトのイメージとして固まってしまう。なので、早めにプロダクトやブランドのイメージに一本筋を通しておく必要があります。
松本:そうなると、経営マターですよね。ザッキーさん(野崎)と話をすると、最終的に「これは経営の話だよね」となるんですけど、デザインを経営に組み込むって難しくないですか。
野崎:デザイン経営ってビックワードですからね。
松本:僕の感覚だと、10年くらい前のエンジニアと経営の関係と似ている気がします。「なんでエンジニアリングにこんなにコストを投下するの」「言った通りに作ってくれさえすればいい」って世界だったのが、エンジニアが競争優位性ということを経営も理解できるようになったのが今なんじゃないかと。
野崎:経産省が出している「デザイン経営宣言」というものがあって、その中では「ブランド」と「イノベーション」が2つの柱に掲げられています。特に、LayerXと通じるのが「ブランド」の面です。LayerXはすごくプロダクトドリブンな経営をしていますよね。「LayerXが提供するソフトウェアはユーザー体験がすごくいい」というブランド認知を形成していくことは、デザインが経営に影響を与える部分だと思います。
そのためにも、それぞれのプロダクトのマクロな部分からミクロの部分まで一貫して体現できる思想を言語化し、プロセス化していくのが直近の課題ですね。
松本:価値基準を作る感じなんでしょうかね。迷ったときに、どの価値観を優先すべきかと問われる場面で、「こっちに向かうよ」という指針、LayerXっぽく表現すると「文化」を作っていくのかなと感じました。その文化を作ることに投資するのがデザイン経営ってことなのかなと。
野崎:そうですね。ブランドって定量的に測りづらいものではありますが、認知やイメージを醸成するって本当に積み重ねなので、そこに投資ができると競合優位性が生まれると思います。認知やイメージを作るためには指針や基盤が必要なので、しっかり取り組んでいきたいですね。
点から線に。デザインの力で唯一無二のユーザー体験を
松本:ザッキーさん、すごいスピードでLayerXデザインイネーブルメントプロジェクトっていう資料を作っていたじゃないですか。具体的にはどういうことをしようとしているんですか。
野崎:ブランド面では、LayerXという企業ブランドと、そこから派生する各プロダクトブランドを定義し、体系化して、コミュニケーションに落とし込むことをやっていきたいと思っています。そのためには、ブランドエクスペリエンスに知見のあるデザイナーさんや、クリエイティブを統括できるデザイナーさんの力が必要です。
バクラクもすでにいくつもプロダクトがあり、今後も増えていく可能性もあるので、プロダクト全体の体験を点で作るのではなく、線で作ることを意識しないといけません。なので、その線の体験を実際の機能開発やユーザー体験に落とし込める、UXに強いデザイナーさんと出会いたいと思っています。
松本:そもそも、点と線の違いってどういうものなんでしょう。
野崎:例えば、ユーザーさんから「ある部分のここが使いづらい」と要望があったときに、その部分さえ改善すればニーズを満たすことにはなるんですが、プロダクトの体系全体を考えたときに、その要望を改善することが、ペインを解決することになるかというと、必ずしもそうならないと思うんです。
もっと前の部分から改善したら、その「点」の部分の改善をしなくてもより良い体験を生み出せる場合があるので、全体のユーザー体験を理解した上で、最適な解決方法を提示するのが「線」になるかと。
松本:バクラクの「裏のニーズを捉えよ」っていう行動指針に近いと感じました。
野崎:そうですね。裏のニーズを捉えるための手段のひとつとして、ユーザー体験をもっと掘り下げて考えていく必要があると思うので、より深く追求できるデザイナーがいると、さらに体験が磨かれると思っています。
「LayerX流」を共に作ってくれるデザイナーと出会いたい
松本:これからのLayerXのデザインチームでは、どういう体験や成長機会が生まれそうですか。
野崎:自分が入社した理由でもありますが、LayerXは今が一番おもしろいフェーズだと思っていて、まだまだ整備できていない部分も多いので、デザイン面に関してはデザイナーが価値が出せる場面がかなりあると思います。事業が複雑な分、難易度も高いですが、柔軟に裁量をもって、自分の行動が組織に価値を与えられていることを実感しながら、成長できるんじゃないでしょうか。
松本:これまでは人数が少ない中で、みんながそれぞれにやれることを精一杯やってきた感じでした。やっと、バラバラだったものにひとつの筋を通して戦略としてまとめることができたので、これからひとつずつ、抜けてるピースを埋めていこうというのが今のフェーズです。すごくいい成長機会になりそうですね。
野崎:頭をひねりながら、1から作り上げていく経験は絶対成長できると思います。お互いにフィードバックしあえる環境もありますし。
松本:ある種「LayerX流」を作っていくプロセスになるんでしょうか。
野崎:まさにそうですね。
松本:LayerX流を作っていくに当たって、今後の展望を聞かせてもらえますか。
野崎:デザインイネーブルメントのプロジェクトは時間がかかるものなので、この1年は、それを前に進めるための基盤作りをしたいと思っています。そのために、体験設計に関心や理解のあるプロダクトデザイナーや、LayerXのブランドを作っていくためのブランドエクスペリエンスに強みのあるデザイナー、あとはブランドの価値を最大化するコミュニケーションが作れるマーケのデザイナーも仲間になってほしいですね。
松本:全方位でデザイナーを求めていると。
野崎:めちゃくちゃ募集しています。
松本:メンバー一人ひとりがデザインの力を自分の武器にできるように支えていくためのスタート地点に立ったのが今だと思うので、スタートもスタートなチームで、自分の力を発揮したいと思うデザイナーのみなさん、ぜひカジュアルにお話しましょう。
野崎:先ほどから繰り返していますが、今が本当に一番おもしろいフェーズなので、気軽に話しかけてもらえると嬉しいです。
LayerXのデザインチームに興味のある方は、ぜひお気軽にカジュアル面談を!
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開催日時:2023年3月13日(月)19:00-20:00
登壇者:ALL STAR SAAS FUND Managing Partner 前田ヒロ氏、Partner 神前達哉氏 / LayerX 代表取締役CEO 福島良典