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“業務の自動運転”で「経済活動をデジタル化する」──AI・LLM事業の設立から1年半、掴み始めた成功への手応え【松本×中村】
2023年11月にAI・LLM(以下、AL)事業部を設立してから1年強。2024年6月にリリースした生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」は三菱UFJ銀行様、三井物産様といった大手企業に導入され、業務効率の改善につながるなど、すでに一定の成果も出始めています。
生成AIを取り巻く環境は日々変化し、急速なスピードで技術進化も進む中、代表取締役CTOの松本勇気は「経済活動をデジタル化するための道筋が見えてきました」と語ります。
さまざまなプロダクトが登場する中、Ai Workforceというプロダクトの特異性はどこにあるのか。また大手企業と共に生成AIの可能性を切り拓くAL事業部の面白さとは何か。事業部長の中村龍矢とAL事業部で働く魅力について語り合いました。
「新しい技術を活用し、最先端のチャレンジをする」という面白さ
──AL事業部の設立から1年強が経ちました。手応えはいかがですか?
松本:推論力の強いモデルが登場するなど、生成AI(LLM)の技術が進化し続ける中で、接点を持った大手企業のお客様から、Ai Workforceがエンタープライズにおける事業のデジタル化のパートナーとして認識されつつあるように感じます。当初描いていた仮説が上手くフィットしており、現時点でも一定の手応えを感じています。
研究開発の期間も含めると2年ほど経ちますが、常に新しい技術を活用した最先端のチャレンジができている感覚があって、知的にも楽しいフェーズです。
「経済活動のデジタル化」を実現するための道が見えてきましたし、今はそのために必要なものが自分たちの手元に集まってきている状況です。今あるワークフローエンジンやナレッジエンジンに加えて、それ以外にもいろんなものを組み合わせようとしているのですが、それらをすべて組み合わせたら、ゴールに辿りつけるという手応えを感じています。
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中村:これまでブロックチェーン、プライバシーテックといったように“枯れていない技術”をテーマに事業づくりに取り組んできたのですが、生成AI(LLM)がそれらと大きく異なるのは、新しくできることがどんどん分かっていくという点です。
これは決して当たり前のことではないと思っていて。技術の多くは研究開発が進んでいくと、“できないこと”も同時に分かってくるのですが、生成AI(LLM)の領域に関しては逆で、できることがどんどん分かるんです。
TAM(獲得可能な最大市場規模)が100倍に拡大したのではないかと思うほどの技術進化が半年に1回のペースで生まれていますし、今後もさらに新たな技術が生まれていくでしょう。技術者としては今までにないほどの面白さを感じられるテーマなのではないかと思っています。
松本:進化の早い生成AI(LLM)の世界の中でも、Ai Workforceは常に先端に居続けられるプロダクト設計になっています。だからこそ、技術が進化する度に「こういうこともできるよね」という新しい可能性が見つかり、それをお客様と議論しながら試せている。o3-mini(OpenAIの最新モデル)のような高性能な技術が登場する度にワクワクしています。
私たちが開発・提供しているのはプラットフォームで、あらゆる仕事の根本に入り込もうとしている。生成AI(LLM)時代の新しい働き方、人のあり方をいろんな人たちと話をしながら、いろんなチャレンジができるのはAL事業部ならではの面白さだと思います。
中村:多くの人は生成AI(LLM)は自分の仕事に影響がある、インパクトがあるのは何となく分かっているのですが、それを活用して何をするかまではまだ見えていない。そういう状況だからこそ「答えを出す」というチャンスがまだまだある。面白いフェーズだと思います。
AL事業部は「コンサルティング」と「プラットフォーム」の両機能を兼ね備えた稀有な存在
──Ai Workforceは初期から大手企業に導入されています。どういった点が強みとなり、導入につながっているのでしょうか?
松本:Ai Workforceは、スタート地点を「バクラク」と真逆にしたんです。「バクラク」は多くの人の業務を効率化することを目的に、広く使えるプロダクトを目指してきました。だからこそ、急成長することができ、たくさんのお客様に使っていただけています。
ただ、Ai Workforceはバクラクとは逆の発想をしています。ターゲットを大手企業に絞り込み、一つひとつのお客様に寄り添って仮説検証を繰り返してきたことで、プロダクトに“尖り”を与えられており、それがAi Workforceの強みにつながっています。
ミスの許されない、大手企業のデジタル化において、Ai Workforceとコンサルティングの組み合わせが“使われるLLM”につながっている。表面的な技術理解よりも、お客様の業務プロセスで必要なものを愚直に実装し続けていることが、結果としてお客様の信頼につながっていると思っています。
1個1個の機能を見ても、お客様に寄り添っていくためのいろんな工夫が詰まっています。これをずっとやり続けているからこそ、一つひとつのアクションで信頼が積み上がっていき、パートナーとして見ていただけていると思います。
中村:コンサルティングやプラットフォームをそれぞれ提供している会社は今までにもあったと思いますが、日本国内で両方を提供している会社は少ないと思います。
個人的には片方の提供だけでは不十分だと思っていて。なぜなら、プラットフォームだけ入ったとしても、今の技術進化のスピードと適用範囲の広さからすると、なかなか活用は難しい。お客様の事業状況や既存の業務プロセスにあわせて、AIをどういう順番でどう使っていくべきかという戦略を描けないので、コンサルティングが必要になります。
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一方で、コンサルティングの提供だけではダメで。技術進化のスピードが速い中で、ソフトウェアがないと小さいことしか実現できなくなってしまう。インパクトと実現可能性を両立したAIのユースケースを描いて実行するには、コンサルティングとプラットフォームの両方が必要ですし、その両方を持ち合わせているのが日本国内においては珍しいポジションでもあるので大手企業からも評価していただけていると思います。
圧倒的に伸びている市場で、横一線からキャリアをスタートできるチャンス
──今、このタイミングでAL事業部に入る面白さはどこにありますか?
松本:生成AI(LLM)が今後あらゆる物事の基本になっていくと思います。そういった大きな変化の中で、いろんな経験をしてきた様々な企業のCTO・CxOクラスのメンバーが集まって、生成AI(LLM)を活用した働き方、プロダクトのあり方などを日々議論している。「最高のチーム」と「お客様との信頼」という掛け算の上で、生成AI(LLM)という先端のイノベーション領域で新しいプロダクトを追いかけられることが、この組織の面白さです。
すでに英語対応なども行っていますが、Ai Workforceは言語に依存しないプロダクトであるため、グローバル展開にもチャレンジできる。そういう環境は珍しいと思います。
また、LayerXならではの面白さで言うと、Ai Workforceに加えて、バクラクはバクラクで生成AI(LLM)活用のチャレンジをしているし、Fintech事業のMDM(三井物産デジタル・アセットマネジメント)はMDMで生成AI(LLM)活用のチャレンジをしている。それぞれの領域で試行錯誤を繰り返している人たちが時には集まって話をすることができるのも複数事業を展開するLayerXならではですし、試行錯誤の質と量がすごく多いのも魅力のひとつです。
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中村:圧倒的に伸びている市場で、さまざまな業界に新しい価値を提供できるので誰に対してもオススメではあるのですが、その中でも特に大きくキャリアシフトしたい人にとってはすごく面白いタイミングだと思っています。
例えば、いまAi Workforceではより「エージェント」らしさのある方向に開発を進めていこうと思っているのですが、各種ユースケースごとに、どのようなエージェントがあるべきか、誰も明確な答えを持っているわけではないんです。そういう意味では、どれだけ経験があるエンジニアもPdMも、横一線からスタートすることになります。
これだけ伸びている市場の中で、誰もが横一線からスタートできるタイミングは滅多にない。若手に限らずですが、大きくキャリアシフトしたい人にとってはすごく良いタイミングですし、時間が経つにつれてチャンスの門戸は閉じていくので、いま飛び込むべきです。
松本:大手企業の方々は一定の予算を持っていて、やりたいこともあるけれど、それを実現するための人と物が足りない状況の中、私たちは人と物(プロダクト)を持っている。もっとたくさんの仲間がいれば、それだけ大手企業の方々のニーズに応えられるようになるので、これからチームを拡大していきたいですし、拡大フェーズだからこそ得られるチャンスもたくさんあります。
チームが拡大すれば、経済活動のデジタル化に貢献できるイメージが固まってきているからこそ、ぜひ多くの人に入ってきてほしいなと思います。
「業務の自動運転」を実現する道筋が見えてきた
──ありがとうございます。最後にAL事業部はどんな世界観の実現を目指しているのか、お二人の考えをぜひ聞かせてください!
中村:ここ1〜2年の間で生成AI(LLM)の活用に力を入れる企業は増えています。社会全体として素晴らしい流れだなと思う一方で、多くの企業は現状、たった数百文字程度のプロンプトでしか生成AIに仕事を教えられていません。
よく「生成AI(LLM)は人間の仕事を代替するようになるか?」と言われるのですが、人間は仕事を学ぶ上で長い時間をかけて多くの知識や経験を得ています。その知識や経験を数百文字程度のプロンプトで置き換えることは難しい。生成AI(LLM)も人間に仕事を教えるのと同じくらい丁寧に育てていかないと、真のポテンシャルは発揮できません。
これを弊社では「AIオンボーディング」と呼んでいるのですが、大手企業が生成AIを業務利用する上で必須なコンセプトだと考えています。
AL事業部ではAi Workforceの開発・提供、そしてコンサルティングによる支援によって、各業界・企業で5〜20年の経験を積んだ、エース社員相当のAIをつくっていきたいと思っています。
そのために、より自律的に、高度な業務をこなせるようにAi Workforceを進化させていきたいと思っています。Ai WorkforceはすでにAIワークフローの機能により、マニュアル化しやすいタスクを柔軟にAIに教えることができますが、そこに加えて、AIが自分でゴールに向かってタスクを遂行する、AIエージェント機能の開発に力を入れています。
人間の時間軸で学習できる量・範囲には限界がありますが、AIはその限界を超えられる。必ず人間を超えられると思っていますし、Ai Workforceによって各企業にエース社員相当のAIがいる、というような世界観の実現を目指していければと思っています。
松本:私たちが最終的に目指すゴールは「業務の自動運転化」です。あらゆる業務を、生成AI(LLM)が全自動で、自律的にこなしてくれる。そんな世界観を実現したいと思っています。
そうすることで、LayerXの「すべての経済活動を、デジタル化する。」というミッションも実現できる。今まではすごく遠い道のりかもしれないと思っていたのですが、「業務の自動運転化」に必要なパーツが生成AI(LLM)の技術進化によって揃いつつあります。
自律的でユーザーと上手く協調しながら業務を遂行するパートナーを生み出し、企業にオンボーディングしていく。そんなソリューションを大手企業の皆様に寄り添って提供していくことで、日本の大手企業がより強靭になるプロセスを生み出していきたいです。
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