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凡事徹底の先にしか結果はない。数々の経営の“難所”を乗り越えてきた横田淳の哲学(#LXエモカレ)

LayerXで働く人たちの心のうちに迫る「LayerXエモカレ」。今回は、2023年4月にLayerXにジョインした取締役コーポレート担当 兼 CEO室長の横田淳に話を聞きました。

サイバーエージェント、メルカリなど日本を代表するIT企業において、25年間、コーポレートや経営の仕事に携わってきた横田。次なるチャレンジの場として、どうしてLayerXを選んだのか。インタビューを通して、横田自身が会社の経営に携わる上で大切にしている考えも明らかになりました。

横田淳(取締役コーポレート担当 兼 CEO室長)
慶應義塾大学を卒業後、NTTデータを経て、2001年サイバーエージェント入社。執行役員経営本部長としてグループ全体のコーポレート業務に従事する傍ら、ABEMAなど多数の新規事業の立ち上げ、特命案件業務に従事。2017年メルカリ入社。メルペイなどの新規事業を立ち上げた後、メルカリ上級執行役員 SVP of Corporateとして、グループ全体のコーポレート部門を統括。2023年4月LayerX入社、7月に取締役コーポレート担当 兼 CEO室長に就任。


サイバーエージェント、メルカリを経てLayerXを選んだ“シンプルな”理由とは

——LayerXにジョインした決め手はなんだったのでしょうか。

一言で言うと「ウマが合ったから」(笑)。もちろん他にも色んな要素はありますが、僕はコーポレートの仕事を25年ほどやってきて、その仕事の重要さ、難しさを理解しています。実は、上場企業では働く人の10%くらいがコーポレートの方たちなんですよ。コーポレート部門は「当たり前にやらなければならない」仕事がほとんどを占めています。法律や世の中のルールを背負いながら、毎日コツコツ頑張っている人が実はたくさんいるんです。

本来であれば、会社の成長に合わせたコーポレート組織を作らなければなりませんが、事業投資と天秤にかけたときに、どうしても投資の優先度が上がりにくい。そういう現実があるなかで、LayerXがやろうとしているコーポレート業務のデジタル化や、労働・金融の生産性向上へのアプローチは、コーポレートに携わる人間のひとりとして、本当に素晴らしいと感じました。

——前職のメルカリでは、メルペイのコーポレート部門を立ち上げ、約1年で500名規模の組織に成長させています。

メルペイは金融事業を展開しているため、メルカリのようなインターネットサービスとは異なり、法令対応なども含めて最初からしっかりとした組織や事業体制を作る必要がありました。

メルカリから100名くらいは異動してきてもらいましたが、残りの400名は採用しなければならない。そのために「経営陣の時間を80%採用に割いてください」という話をしました。「その代わり、1年間で300名以上採用するコミットメントは僕が背負います」と。

「1年で300名以上採用する」という目標を定めたら、あとはやるしかない。そこに向けて突っ走っている感じで、当時は意外と「きつい」という感覚はなかったですね。結果的に、1年半後にほぼ想定通りの人数に着地できましたが、困難はたくさんありました。振り返ってはじめて、急な坂を走っていたんだと実感しましたね。今となっては楽しい思い出ですが(笑)

——誰もが走り切れる状況ではないように感じますが、なぜ横田さんは走り切ることができたんでしょうか?

確かに苦しいことも多いですが、走ること自体は案外誰でもできると思うんです。例えが極端かもしれませんが、後ろから大きなホッキョクグマが追いかけてきて、全速力で逃げている目の前に壁が現れたら何としてでも乗り越えようとしますよね。それと似た感覚です。

ある日の横田の日報

でも、乗り越えたあとに倒れてしまっては元も子もない。いかに上手く着地し、倒れてしまわないようにするかが重要なんです。

困難な状況において、いかにみんながうまく着地をして、次の一歩に繋げられるようにするのかを考えるのが「経営」の仕事だと僕は考えています。継続的にみんなが走り続けられるように、組織のテンションやコンディションをどう保つべきか、という議論は経営会議でもよく話しています。

ステークホルダー全員の幸せのために事業をドライブさせる

「同期」入社の小賀とオフィスの屋上にて

——「継続的に走り続けられる組織」を作る上で、大切にしていることは何ですか?

組織コンディションを可視化し、把握することです。LayerXだと、メンバー全員の月次サーベイを隅々まで読んで、定点観測を行っています。「この人のコンディションは先月90点だったけど、今月は70点になっている」といったように全部暗記するくらい見ていくと、一人ひとりのコンディションから、組織全体のコンディションも見えてくるんです。

——全員のサーベイを暗記するんですか?

そうです。LayerXは今はまだ200名規模の組織なので、一人ひとりの顔を思い浮かべながら読んでいます。だって、「コンディションが良くない」ってアラートを出しているのに、誰も見ていてくれないと辛いじゃないですか。「この人は今は体調が良くないんだな」と理解していれば、適切なコミュニケーションを取ることもできます。せっかくサーベイを提出してもらっているので、そこに真剣に向き合うことは経営陣の責務だと思っています。

——それはいつごろからの習慣ですか?

メルカリの前に在籍していたサイバーエージェントのときもやっていました。組織の状態を良くするためには、サーベイに本音を書いてもらう必要があります。そのためには、メンバーに信頼してもらわないといけませんから。

楽しくて、成長実感も感じられる環境だったら、自然と頑張れるじゃないですか。そうすれば自ずと事業も伸びるし、良いことしかない。事業成長を考えるなら、絶対にそこで働く「人」を見ないとうまくいかないんです。

昔、プロダクトリリースの直前で食事の時間もないくらい忙しくしているメンバーに「何がほしいですか?」と聞いたことがあって。そしたら「休みはいらないから、焼肉が食べたい」って言われたんです。それで、焼肉弁当を買ってきてみんなに配ったことがありました。

ここで重要なことは、忙しいメンバーを連れ出して美味しいものを食べさせるのではなくて、役員自らが自分の足でメンバーが食べたいものを買ってくること。メンバーや組織の状態を見て、適切な打ち手を打つというのはそういうことだと思うんです。

——確かに、士気が上がりますね。

これはサイバーエージェント時代に藤田(晋)さんに教わったことなんですが、会社を構成するステークホルダー全員が喜ぶことって、突き詰めると会社の成長につながる。綺麗事ではなく、みんなが幸せになることにブレずに向き合い続けるのが経営なんです。

もちろん、すべてを両立させることは難しいですし、時に矛盾も起こってしまいますが、誰かを犠牲にしたり優先度を下げたりして解決するのではなく、全方位が幸せになる方法を常に考えています。

経験に依存せず「当たり前」を徹底し続けられるかが結果につながる

趣味はマグロ釣り

——横田さんには今のLayerXはどう映っていますか?

フラットな目線で見ても、とても良い状態だと思います。資金調達も上手くいき、事業も成長していて、優秀な人が集まってきてくれている。組織が拡大しながらも、しっかりカルチャーが浸透している点は素晴らしいと感じます。ただ、継続的に成長していくためには、変えなくてはいけないことがあるのも確かです。

これまではみんなで議論して決めていたことも役割を分担して決めていくなど、会社の価値観は変化していくと思います。それは、これまでのやり方が悪いのではなく、事業や会社をアップグレードしていくということ。経営、コーポレート部門、事業をそれぞれの観点でアップグレードすることをミッションとして、熱量高く取り組んでいます。

——「アップグレード」がキーワードなんですね。

「アップグレードする」と言っても、やることは「凡事徹底」。つまらない話に聞こえてしまうかもしれませんが、結局は凡事徹底をした先にしか結果は待っていません。明確な指針に対してやるべきことを全力でやれば成果はちゃんと出るので、当たり前のことをきちんとやれる会社にしたいと思っています。

僕はマグロを釣るのを趣味にしているのですが、マグロって事前準備を怠ると絶対に釣れないんです。それは「糸をちゃんと結ぶ」とか「竿を投げる練習をする」とか当たり前のことをどれだけやれるかということ。まったく準備をせずにギリギリで来た人は、どれだけ回数を重ねても全然釣れない厳しい世界なんです。

それと同じで、経営にラッキーパンチってほとんどないし、経験に依存していると足元をすくわれるので、いかに事前準備を怠らず、凡事徹底できるかが大切だと思っています。

——当たり前のことをきっちりやる、と。

経験を積めば積むほど、物事には再現性があると思ってしまいがちですが、きちんと「今」の状況を見極めてチューニングすることは常に意識しています。経験の良い部分だけを咀嚼して、新しいものを作っていくという発想で仕事をしないと、良い経験も無駄になってしまうんですよね。

LayerXは既存の業務を単にデジタル化するのではなく、まったく新しいコーポレート業務のあり方を作ろうとしています。良い意味で、福島さんをはじめ、バクラクに携わるメンバーに「コーポレート業務とはこういうものだ」という先入観がないので、会社の生産性をあげることにフォーカスしたプロダクト作りができている。それを感じたとき、LayerXは既存の仕組みや社会のルールすらも変えられるんじゃないかと、感動しました。

僕自身もこれまでの経験を生かしながらも、常にLayerXを主語に物事を考え、新しいものを作るために仕事をしています。これからLayerXはどんどん変わっていくと思うので、普遍的なカルチャーやミッションに共感しつつも、中長期で会社のことを考え、変化することを楽しめる方と、これまでにない新しい世の中の仕組みを作っていきたいです。

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