人間の能力を伸ばすプロダクトを作りたい(#LXなぜデザ)
LayerXで働くデザイナーがバトン形式で「なぜあなたはデザイナーに?」をインタビューする連載「#なぜデザ」の第4弾です。この連載ではLayerXのデザイナーの想いや人柄をご紹介していきます。
今回は、ウェブ制作会社・レシピサービス提供会社を経て2023年9月にLayerXにジョインしたhashさんです。「人間の能力を拡張する」という、hashさんのものづくりに対する想いを中心にお話しを聞きました。
経歴
株式会社LayerX バクラク事業部 プロダクト開発部 デザイングループ。ウェブ制作会社・レシピサービス提供会社を経てLayerXに入社。バクラクのプロダクトデザインやデザインシステム構築に取り組んでいる。
なぜデザイナーに?
元を辿ると、大学生の時に趣味でウェブサイトやブログを作っていて、夏休みはずっとウェブサービス作りに熱中していたんですね。当時から本を読むのが好きだったので、本の在庫を管理するウェブサービスを作ったりしていました。
そうした没頭した経験を経て、ウェブ関連で仕事できればと思っていました。
そうしたサービスづくりの中でユーザビリティに関心が強かったので、卒業後はユーザビリティ改善に力を入れている受託ウェブ制作会社に就職しました。
最初はデザイン業務ではなく、ユーザビリティテスト業務(テストのモデレーションや分析など)をやっていたのですが、テストからの改善案を考える中で、改善にフォーカスして仕事をしたいと思ってデザイン業務にシフトしていきました。
ものづくりの原動力は?
今の方はあまりご存知ないかもしれないですが、高校生とかの頃はKENT WEBなどの掲示板やチャットなどのプログラムを無料配布しているサイトがあったんですね。そういったプログラムを動かしたり、自分で作っているうちに面白いなあと思って。ウェブは独力で少ない力でも身の回りを変えることのできるテコの原理のようなところが面白いと感じています。
なぜエンジニアではなくデザイナーに?
実はエンジニアの道も模索していました(2回目の転職など)。それに今でもコードを書いたり考えたりしている時間は癒やしです。
ではなぜデザイナーの道を選んだのか?僕は良いものづくりのアプローチとして以下のようなやり方があるかなと思っています。
ユーザーや仕事の観察からいいものを作る
あるべき未来から逆算していいものを作る
新しい技術がもたらすイノベーティブな仕組みを使っていいものを作る
デザイナーは1,2が得意ですし、エンジニアは3が得意な傾向があって、自分を顧みるとデザイナーかなと思ったからですね。
とはいえ、ものづくりの視野を狭くしたいわけではないので、視点としてはジョブタイトルに囚われずに考えたいなと思っていますね。
良いものって何?
ユーザーの気持ちを深く理解して設計されているものだと思います。
例えば旅行で例えると、お客さんが新幹線で2時間かけて旅館に着いた時って「疲れたから早く温泉に入りたい… でも子供の面倒を見なければ…」とか色々な気持ちがあるじゃないですか。
その時に甘いものやお茶があって、ちょうどいい姿勢で休める椅子があって、子供が楽しめるおもちゃもあると一服できたりしますよね。ユーザーになりきるくらいになれると、良い解決案も見えてくると思います。
なぜLayerXに?
前職が料理レシピアプリを運営しているクックパッドだったので、転職時にも引き続き自分の身近なサービスに関わりたいと思っていました。ただ、そのこだわりが可能性の幅を狭めていそうと思って、原点である「どういうものづくりをしたいか?」に立ち返りました。
それを考えたときに自分の中心にあるのは「人間の能力を拡張できること」なんだろうなと。
人間は自転車を使うことで(他の動物と比べて)同じエネルギー量でトップクラスに効率よく移動することができるんですが、コンピュータも知性の拡張という意味で同じ存在であるわけです(スティーブ・ジョブズが「知的自転車」という言葉で表現したことです)
そうした「人間の能力を拡張できる」という軸で見たときに、LayerXは人の仕事のエンジンになって人間の生産性に貢献してるわけですよね。
それに行動指針を書いてた羅針盤も読んでみると、組織も文化も自分にあっているなと感じたんです。
そう思って応募して、2023年9月にプロダクトデザイナーとしてジョインしました。
現在の仕事は?
バクラク電子帳簿保存のデザインを担当しています。
バクラク電子帳簿保存はストレージサービスですが、会社の文書って電子帳簿保存法などへの対応が必要で、そうした法対応を楽にシンプルにできる文書管理サービスです。
入社後はドメイン知識を得るために、経理関係の書籍から業務プロセスを勉強したり、商談動画や要望からお客様の現場の解像度を上げたりしています。
入社後のギャップはある?
長所も短所も思ったとおりというか、あまりギャップはないです。
LayerXは「ここが業務を楽にできるポイントだよね」というツボを見つけるのがとても得意な人が多いです(ツボの見つけ方はサービス開発ではめちゃくちゃ重要なスキルです)
ただ、プロダクト立ち上げを急速にやってきたこともあって、プロダクト間もチグハグさもやや出てきているので、その状況をうまく整理していくのも僕の仕事かなと思っています。
良いギャップでいうと、今まではtoCサービスをやっていたのでインタビューを積極的にやってユーザーの行動を深掘りしないと見つけられなかった課題が、バクラクではビジネスサイドからお客様の要望をたくさん引っ張ってきてくれるんですよね。
掘るべきポイントが目の前にたくさんあるという状況は新鮮でしたが、プロダクトを良くしていく環境としては最高にも思えますね。
好きなデザインバリュー
デザインバリューは全部が好きですが、一番は「愛」ですね。
ウェブという業界にいるとアウトカムって10年とかでなくなっていくじゃないですか。過去に関わったサイトが跡形もなくなっていたりして悲しくなったこともありました。
じゃあ、100年という単位で何が残るんだろうかと思ったときに残るのは「想い」なんですよね。
僕はフランスの画家のミュシャが好きなんですが、彼は100年前の画家なのにとても現代性を感じる絵で、今影響を受けているサブカル作品も多いように思います。
ではなぜ現代まで伝わっているかと思うと、いかに華麗で優美さを伝えるかという「想い」がそれを実現させたなんだろうなと。デザイナーとしてもユーザーの思いに深く入り込み、それを次に進める想いが生まれたとき、他の人にも広がるものづくりができるのだと信じています。
アウトカムがなくなったり、私が亡くなったとしても、「想い」や「愛」は誰かの頭の中で残りつづけると思うので、このバリューが好きです。
お酒が入っていないと、こういうトークって恥ずかしいですね(笑)。
インタビュアーから@piya
hashさんの活動の源泉となっている「人間の能力を拡張できること」 というのは、数十年前からDynabookが目指してきた世界観に通ずるものがあるように感じました。そう考えると、やはり残るものは想いですね。(@piya)
未来の仲間にひとこと
LayerXは価値を発見することが上手い組織だなと思っています。
一緒に価値を見つけたり、見つけた価値をいかにうまく・多くの人に伝えるか。もちろん難しさもありますがとても楽しい時間を過ごせると思うので、共感できる方は一緒にやっていきましょう。