Keep Typing——バクラクCTOが“効率化”よりも大切にするもの(#LXエモカレ)
LayerXで働く人たちの心のうちに迫る「LayerXエモカレ」。今回は、専門役員バクラク事業CTOの中川佳希が登場。
2024年1月にバクラク事業CTOに就任した中川。「プレッシャーを感じてその場では回答ができなかった」と話す彼に、CTOとして目指すバクラクの開発組織の姿について聞きました。
会社全体が“Bet Technology”だと感じたことが決め手に
——LayerXに入社するきっかけは何だったのでしょうか?
知人からのリファラルですね。当時はフリーランスのエンジニアとして仕事をしていたのですが、行き詰まりを感じ始めていたタイミングで……個人でできる範囲よりももっと大きな、会社でしかできないことがあるなと感じていました。
フリーランスは自分の裁量で仕事が進められますし、技術的にも視野を広げることができるメリットはありました。ただ、どうやっても目の前の開発業務に終始してしまい、ビジネス的にスケールするものに携わりたいな、と。それを考えると、やっぱり会社に属していないと難しい部分があるのでLayerXへの入社を決めました。
——入社前のイメージはいかがでしたか。
当時はまだブロックチェーンの会社という印象が強かったですね。今はSaaS+AIの会社というイメージなので、自分が応募したころと随分変わったなと思います。
ビジネスの軸は変わりましたが、当時から変わらないことが会社全体がエンジニアリングやテクノロジーの重要性を理解していることです。行動指針にも「Bet Technology」という言葉があるように、技術の力を全職種の方が信じているところに魅力を感じました。
エンジニアもお客様のところへヒアリングしに行きますし、ビジネスサイドの人も技術への理解がある人が多いことは、LayerXの特徴かなと思います。
——入社してこれまでで、一番心に残っているプロジェクトは何ですか。
やっぱり、「バクラク請求書」の前進となった「LayerX Invoice」の開発ですね。本当に手探りの状態で、実際の経理の方の業務をヒアリングしながら開発を進めていきました。いま振り返ると、請求書を受け取って、仕訳を入力して、CSVデータを吐き出して、会計ソフトに繋ぐ……というかなりミニマムな仕様でしたが、それでもちゃんと動いた瞬間はとても嬉しかったのを覚えています。やっとMVP(Minimum Viable Product)がひとつ作れたんだ、と実感できました。
——バクラクは開発速度の速さが特徴のひとつですが、スピードを保つために大切にしていることは?
はじめは、ミニマムなプロダクトとして余剰なものを作らず、本当に必要なものを作ることを意識していました。工数が限られているということもありますが、コアなものの周辺に余剰が増えていくと、それに対して注意を払わなければならなくなるので、大事なものにまっすぐに向き合うことが難しくなってしまいます。なので、初期のころはできるだけ本当に大事なものだけにフォーカスすることでスピードを維持するようにしていました。
ここ1〜2年の変化としては「行動量」を増やすようになりました。頭の中だけで考えて良いものを作れる人もいますが、自分の場合は手を動かしてアウトプットを重ねることで、スピードや当たり前の水準も上がると考えているので、入社当時よりもさらに意識しています。
「Keep Typing」って言葉を大切にしているのですが、最後までキーボードを打ち続けて、その先により良いものを生み出していきたいなと思うんです。自分が手を動かしていないのに、チームメンバーに「手を動かそう」ってあんまり言えないじゃないですか。自分が提供できる価値やスタンスは、ちゃんと行動で示したいなと思っています。
新CTOとして目指すのは、競争力の源泉となる組織作り
——2024年1月には、バクラクCTOに就任されました。打診されたときの率直な思いをお聞かせください。
その場ですぐに返事ができなかったです。LayerXの場合は取締役CTOにymatsu(松本)さんがいて、前任のmosa(榎本)さんもいる。その上で自分に何ができるんだろう、何を求められているんだろうとめちゃくちゃ考えました。もちろん、プレッシャーも感じましたし。
最終的に、ビジネスを引っ張っていける開発組織を作ることが、いま自分に求められていることなのかなと思い、覚悟を決めました。正直、今の開発組織自体に大きな課題は感じていません。プロダクト開発に真摯に向き合うメンバーばかりで、すごく良いチームだと思っています。
一方ビジネス観点で見ると、我々はソフトウェアを開発してお客様に価値を届けることを主軸としているので、開発チームは競争力の源泉とも言えます。なので、組織のマネジメントはマネージャーたちにお願いしつつ、ソフトウェアを支えるテクノロジーや開発をリードしていくのが私の役割です。
でも、役職へのこだわりは強くないので、数年後のバクラクCTOに対して求められるものが変わり、自分以外のメンバーが適任だと思ったら、すんなり役割をお任せしたいなと思っています。CTOはヒエラルキーのトップではなく、あくまでひとつの「パーツ」なので。
——中川さんからみたバクラクの開発組織はどういうチームですか?
壁が少ないチームですね。開発チーム間はもちろん、職種をまたいだ壁も少ないですし、お客様との壁も少なくて、すごく働きやすいと感じます。セクショナリズムがないことだけでなく、エンジニアがお客様のペインやニーズを拾いに行ける環境はめちゃくちゃ良いなと。
ただ、サービスとしては最初のリリースから3年半が経つので、だんだん古くなっている部分が出てきています。変えるべき部分を特定し、課題を解くために「なぜそれをやる必要があるのか」を明確に言語化し、意思決定をすることが求められます。プロダクトが成長すればするほど、ドラスティックに変えることが難しくなるので、ロジカルに説明できるスキルが必要です。
——他にも、バクラクの開発メンバーに大切にしてもらいたいことはありますか?
問題や課題を表面上や小手先で解決するのではなく、自分の力を注いだエンジニアリングで解決してほしいと思います。もちろん積み上げてきた経験は尊重したいですが、その延長線の範囲だけではすごくもったいないと思うんです。時にはコンフォートゾーンから出て、全力で課題に向き合う姿勢を持ってほしいなと思っています。これは自分自身にも課していることですし、みんなもそうあってほしいですね。
——中川さんご自身は、どうやってコンフォートゾーンを抜け出しているのですか?
あるときから、賢い解決策だけを求めることをやめました。そうすると、時間や労力を無駄にすることがあるかもしれないけど、それも全部「仕方ない」と思うというか……賢くやろうとせずに、エネルギーがかかることもちゃんとやることがコンフォートゾーンを出るってことなのかなと思いますね。
どうしてもIT業界にいると、効率化が第一にくるところがあると思うんです。もちろん私自身も効率化、合理化は大事だと思っていますが、それだけを追い求めすぎると落とし穴にはまってしまうこともある。
それに、エネルギーはかかるけど、目の前の問題を本質的にどう解くんだっけ、と考えるのって単純に楽しくもあるんですよね。なので、効率的にやる部分と、自分の力を全力で注ぐ部分の両方を大切にしたいなと思います。
10年後も第一線のエンジニアでいられるように手を動かし続けたい
——バクラクCTOとして取り組んでいきたいことをお聞かせください。
フラットで風通しの良いエンジニア組織であり続けたいです。「立場が上の人が言っているから」みたいなことが起こらず、お客様にとってより良い技術、より良いアプローチを探し続けられる組織であることを目指していきたいと思っています。今も十分クリアできているのですが、今後組織が拡大していってもフラットであることを大切にしたいです。
「僕やmosaさんが言っているからやる」のではなく、自分の頭で考えてやり切るマインドを持ったメンバーが集まった組織が理想だと考えています。
プロダクトも機能も、この数年でどんどん増えましたし、これからも増えていくと思います。自分の興味関心だけでなく、広い視野を持って横串でエンジニアリングを見ることができる人が仲間になってくれるとすごく心強いですね。
外から見るよりも何十倍も成長過程でカオスな組織なので、変化する毎日を楽しめる人にはすごくフィットするんじゃないかと思います。
——個人としての展望は?
あんまりないんですけど……5年後、10年後もちゃんとエンジニアとしてワークできる自分でありたいっていう思いはありますね。例えば、目先の2年でコードを書く時間が減ることはやむを得ないとしても、10年後に自分がエンジニア組織に残れるだけの技術は保ち続けたい。展望っていうとそれくらいですかね(笑)
コードを書く時間があるだけでめちゃくちゃ嬉しいので、ずっと自分の手を動かし続けていきたいですね。
目の前の課題に愚直に向き合い続ける仲間を募集しています!
まだまだ成長を続けるカオスな環境で、自分の手を動かし、問題を解く難しさや楽しさを感じたい方、ぜひお待ちしています。まずはカジュアル面談でお話ししましょう。