都議会議員選挙における開票参観レポート〜インターネット投票の実現にむけて〜|#LayerX_history
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都議会議員選挙における開票参観レポート〜インターネット投票の実現にむけて〜|#LayerX_history

こんにちは。LayerX Labsの畑島(@th_sat)です。

今日は、7月4日に行われた東京都議会議員選挙の開票参観の模様についてお届けします。

LayerX Labsにおけるインターネット投票への取組
LayerXの研究開発組織LayerX Labs(レイヤーエックスラボ)では、行政のデジタル化推進施策の一つとして、「透明性と秘匿性を両立した電子投票の実現」に向けて取り組んでおり、昨年11月につくばスマートシティ協議会に参加している他、昨年12月には石川県加賀市およびxIDとの間で、市の政策に関する電子投票実現に向けた連携協定を締結しています。
https://layerx.co.jp/news/pr210609/
https://layerx.co.jp/news/pr20201203a

また、今月7月7日に茨城県立並木中等教育学校の生徒会選挙で行われるインターネット投票導入に先立ち、先週6月24日には課外授業の講師を担当しました。

開票参観とは

LayerX Labsとして取組むインターネット投票の実現にむけて、現行の投票・開票オペレーションの実態を掴むべく、今回は先日7月4日に行われた東京都議選の開票参観に足を運んできました。開票参観は有権者に認められているものであり、自身が投票した選挙区に設けられている開票会場に足を運べば、誰でも参観が可能です。開票状況そのものは、中間状況を含めてネットでも開示されるものの、開票の様子を目の当たりにしたのは、初めての体験でした。新鮮な記憶とともに、メモをまとめます(参観会場ではスマホなどの撮影が禁止されているので、記憶を頼りにした書き起こしを通じて、開票の様子が伝わればと思います)。

私が足を運んだのは、文京区の開票会場です(文京区の総合体育館)。受付で住所・氏名・連絡先電話番号を記載すると、投票会場同様にチェックが行われた上で「参観人証」のシールが渡され、会場の参観席(体育館の3階席)へ通されます。

20210705_選挙会場

開票会場の全体像

参観席に入ると、体育館全体に開票準備が整っている様子が一望できます。作業場所としては、大きく「分類エリア」「点検エリア」「計数エリア」に三分されており、これに加え、参観席からみて奥の方に、全体を統括したり分類・点検の審査を行うテーブルが配置されています。

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開票作業の開始時点では、作業開始時点では職員さんが「分類エリア」に集まっています。分類エリアには、紺色のテーブルクロスで覆われたテーブルが7つ配置されています。それぞれのテーブルの上に投票箱が1つ置かれており、テーブルあたり8人ほどの職員さんが立っています。(作業エリアとしては前述のとおり分類エリア以外に、点検エリア・計数エリアがありますが、作業開始時点では点検エリア・計数エリアは無人であり、分類エリアの作業が終わった後に順次点検エリア・計数エリアに移動する流れになっています)

開票作業シーン①:分類
20時45分になると、開票作業の幕が切って落とされます。投票箱を一斉に開けて、投票箱が空になったことを参観席に見せたこの瞬間が、進行役のマイク音とあわせ、会場の喧騒のピークでした。投票箱を開けた後の作業が始まると、まず最初の人手で有効票・無効票の分類を行い、分類結果を「イチゴパック」と呼ばれる対のケース(スーパーで購入した苺が入っている透明のケースが2つセットになったもの)に格納していきます。分類テーブルで作業が終わると、テーブル間を巡回しているメンバーが分類結果をピックアップした上で、分類機のある付近のとりまとめテーブルに渡していきます(このとき無効票とあわせ点字をピックアップしている模様)。

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興味深かったのは、参観者は体育館の一つ上のフロアから会場を見ているのですが、ここにマスコミが各社2人一組で会場を観察していることでした。片方が分類テーブルの様子を双眼鏡で見て、目に入った候補者の名前を読み上げていき、他方がそれを表に転記しています。開票作業全体を通じて、実際の投票用紙に記入された候補者のお名前を俯瞰できるのは、このタイミングがベストなので、ここで投票の大勢を把握することがこの動きの狙いだと思われます。

分類テーブルの作業結果が分類機に持ち込まれると、恐らくは候補者別の100票ごとの束として吐き出されているであろう様子が遠くに見えます。そして分類テーブルの作業が進んでいくにつれて、テーブル上の投票用紙が減っていくと、テーブル数を集約した上で、手の空いた職員さん達が徐々に次の点検テーブルに移動していきます。

開票作業シーン②:点検
次のステップである点検エリアは、6テーブルにそれぞれ4人の職員さんが配置されて作業を行います。分類機が候補者別に吐きだしたと思われる束を対象として、分類に間違いがないことを目視で点検しているようです。ここでは分類機の吐きだした束(候補者別に振り分けて表紙がつけられている)を目でチェックするだけであり、「人手でどの候補者むけの票かを振り分ける」といった作業はしていないようです。この点検テーブルの確認結果も、巡回メンバーがとりまとめ席へもっていき、恐らく改めて100票ごとの束に補正した上で、計数エリアへと運ばれます。

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開票作業シーン③:計数
3つ目のステップである計数エリアには、分類エリアに残っていた待機メンバーが移動してきています。ここでは、各テーブルに計数機が2台ずつ配置されており、それぞれの計数機に2名の職員さんが対応しています。点検の結果が計数機にかけられ、再度100票ごとの束として吐き出されます。計数テーブルでは、候補者別に振り分けられ点検の終わった束に対して確かに100票であることを確認しているようです。計数作業を2台の機械で行った上で、計数済の束は、巡回メンバーが計数エリアのとりまとめ者に渡されます。計数とりまとめ者による確認が行われると、計数済の束は全体統括班に渡ります。

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開票作業シーン④:集計、⑤:開票状況発表
ここまで分類・点検・計数という3つのステップを経て、候補者別の集計の束が全体統括班の手元に積み上がりました。全体統括班のもとで候補者別の集計をとりまとめた上で、立会人による確認を通じてハンコが押されていく、といった流れを経ることによって、集計結果が算出されていき、速報値となる集計結果発表に至ります。21:30から30分おきに開票速報が読み上げられますが、21:30時点および22:00時点では各候補者ともに同数で並んでいました。ただし、おそらくシーン①の分類機が候補者別に票の束を振り分けた時点で、候補者別の票の大勢を(点検前なので発表できないものの) 全体統括は把握していると思われます。開票状況の中間発表都度、それまでに計数作業を完了した票の束が、会場隅の集積台に平積みされていきます。

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このように計数結果が積み上がっていき、計数作業も全て終わると、開票結果の確定発表にむけた作業が、全体統括や審査のテーブル付近で大詰めを迎えている様子が窺えます(ただ参観席から遠いため、具体的に何をしているのかは把握できません)。そして最後の計数結果について立会人の方々による確認・押印が行われると、開票結果の確定値が読み上げられて、全ての開票作業が完了となります。

こうして開票結果の確定値が発表されたのは23時ごろでしたが、集計結果が確定するまで全職員さんは退席できないかと思いきや、計数まで終わったところで、点検・計数テーブルの職員さんは解散となり(ここから確定発表まで30分ほど待ちました)、最後の確定発表まで残ったのは全体統括・審査班と立ち会いテーブル班だけです。また、確定発表後は拍手くらいあるかと思いきや、かなり淡々と解散となりました(一部メンバーは選挙会というイベントが残っているようです)。

おわりに:開票作業に携わる人数規模
最後に、今回の開票作業に携わった人数規模を振り返っておきたいと思います。文京区(投票数はおよそ88000でした)の場合、ざっくり100人強が開票場所で動いていました。内訳は、(1)まず分類・点検・計数の作業および作業結果の運搬に70名ほどが携わっておられました。分類テーブルが7つあり、それぞれ8人ずつ配置されており、分類テーブルの作業結果を分類結果に運ぶ巡回メンバーが10名ほどおられました。(点検エリア・計数エリアは、分類エリアから移動する流れとなっているためカウントせず)(2)その上でとりまとめ系で40人ほどがおられました。具体的には、分類テーブルが無効票を弾いたものをまとめて候補者別に束を作る2台の分類機オペレーションに約6人、分類・点検結果の審査に約10人、全体統括・集計に約10人、立会人テーブルに約10人ほどがおられました。
なお、文京区の人口約21万人は、LayerXがインターネット投票で協業させて頂いているつくば市と同規模であり、また加賀市は文京区のおよそ1/3の人口規模です。今回の参観は、投票所に出向いて、投票用紙に候補者の名前を記入するという、現在の投票・集計様式を安心・安全な形で運営するには、これだけ多くの方の手間をかけていることを改めて実感する良い契機になりました。LayerXでは、インターネット投票の実現を通して、新しい投票・集計様式を生み出していくべく、今後も鋭意取り組んでいきます。

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参考

参考までに、開票参観会場で随時配布されていた、開票結果(中間時点および最終版)のシートです。これ自体はネット上で公開されているものになります。今回、その過程となる集計オペレーションの様子を、開票参観会場という現場で参観することができた訳ですが、この体験は予想以上に収穫の多いものでした。一方、体育館という広い開票会場のオペレーションを俯瞰するにあたり、参観席から遠いエリアでのオペレーションはほとんど窺い知ることができなかったため、次回はマスコミ各社のように双眼鏡などを携えて臨むことができれば、開票参観をより楽しめるのではないかと思っています。

20210705_集計配布物


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