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向き合うのは“眠れる1000兆円”。新しい金融の形に挑戦する丸野宏之の5年間(#LXエモカレ)

LayerXで働く人たちの心のうちに迫る「LayerXエモカレ」。今回は、三井物産らとの合弁会社「三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社(以下、MDM)」取締役 丸野宏之が登場。

LayerX創業期から参画し、MDMの立ち上げにも携わった丸野。LayerXを選んだ理由を「社会を変える可能性のある事業に飛び込んでみようと思った」と語ります。スキルと志の両方を大切にする丸野に、MDMで成し遂げたいことを聞きました。

丸野 宏之
事業部執行役員(FinTech事業)

東京大学工学部システム創成学科卒。大手総合商社、(THE)ONE of THEM, Inc.を経て、2016年にフリーランスとして独立。Google Play Best games受賞、複数のコンシューマー向けプロダクト企画・開発・運営経験を経て、2018年LayerXに参画し、2019年に執行役員に就任。2020年に三井物産デジタル・アセットマネジメントへ参画、取締役就任。「世界一効率的なオルタナ運用会社」を作るべく、各業務のDXに邁進中。


腰を据えて社会のためになる仕事に取り組みたい

——丸野さんはLayerX創業期から在籍されていますが、入社のきっかけは何だったのでしょうか?

代表の福島さんと大学の研究室の同期だったことが縁で、ある日連絡が来たんです。当時は、総合商社、ゲーム系スタートアップを経て、フリーランスとして働いていた時期でした。

そこに突然、福島さんから「Gunosyでブロックチェーン関連の新規事業を立ち上げるから、どう……?」と連絡をもらって(笑)。今後、大きく伸びていくテクノロジー領域で、ビジネスとしての可能性もあったので、面白さを感じました。

それともうひとつ、フリーランスとしての自分の限界を感じていたことも関係しています。

——どういうことでしょうか。

僕は決して器用な人間ではないんです。いろんなことにチャレンジするよりも、ひとつのことに深くコミットすることで価値を出せるタイプ。フリーランスとして働いていたころは、さまざまなプロジェクトに関わらせていただくことで知的好奇心は満たされましたが、大きな目標に向かって腰を据えて取り組むことがなかなか難しかったんです。

5年、10年と中長期目線で没頭できる仕事がしたいと思っていたところに、ちょうど福島さんから話をもらって。正直、ブロックチェーン技術の解像度はあまり高くはありませんでしたが、社会の変化に自分が関われることに魅力を感じ、今に至っています。

ブロックチェーン事業時代のロシア出張にて

——三井物産デジタル・アセットマネジメントの立ち上げもご経験されています。

三井物産さんと事業を進めるにあたって、テクノロジーの話とビジネスの話の両方ができたことがLayerXの強みでした。当時、ブロックチェーン技術に詳しい人はたくさんいても、それを使ってどのような事業を作るかといった観点も持ち合わせた人はほとんどいなかった。

三井物産さんはあくまで、新しいビジネスを一緒に作るパートナーを求めていたので、手前味噌ですが、LayerXにテクノロジーの話もビジネスの話もできる人材がいたことは、大きかったと思っています。

でも、大企業とスタートアップの協業なので、本当にたくさんの出来事がありました。屋上でスクワットしながら心を落ち着かせたことも(笑)

そこから学んだのは、大企業の「本気」を引き出すには、我々が常に先にコミットし続けるということ。ビジネスなので、万が一のことは当然考えますが、信頼を前提としたコミュニケーションをしなければ、相手を動かすことはできません。自分からリスクをとって動いていくことも、時には大切だと思います。

趣味は登山。会社の仲間と登ることもしばしば

大企業ならではの信頼とスタートアップのスピード。そのふたつがMDMの“面白さ”

——現在は、MDMではどういった事業を展開されていますか。

MDMは資産運用会社なので、不動産やインフラ等を投資対象とするファンドを組成・運用しています。

特徴は大きくふたつです。ひとつは、「ALTERNA(オルタナ)」という個人投資家向けの資産運用サービスの開発、運営。もうひとつが、ファンドを支える業務のDX推進です。ALTERNAは現在、4号案件まで公開されていて、たくさんの方にお申し込みいただいています。

MDMでプロダクトリリースをした瞬間

一方で、ファンドの業務改善は大企業でもなかなか進まない難しい領域です。ファンドを運用するアセットマネジメントのプロの方たちもみんな、自分たちの業務を効率化したいとは思っているんです。

ですが、お客様の大切な資産をお預かりしている以上、ミスが起きてはいけない。積極的にトライアンドエラーを繰り返しながら改善サイクルを回していくことが難しいんです。

そうすると、どうしても組織の力学が既存業務をミスなくしっかり回すほうに傾きがちで、「今の業務をちょっと楽にできる」くらいの取り組みしかできない状況が続いてしまいます。

——そういった仕組みをMDMでは、どのように変えているのですか?

本来のあるべき姿は、ソフトウェアの力で業務全体がガラッと変わり、コストも10分の1になるくらいの抜本的な改善です。そこで、MDMでは思い切ってエンジニアに一部のファンド運用業務を任せる試みをしています。自分で運用し、自分で改善する。そうすることで、業務の解像度も上がり、本質的な改善ができると考えたんです。

もちろん運用業務のすべてをいきなりエンジニアがやるわけではありません。物件運用の差配などは引き続き運用のプロに任せ、ファンド会計や開示業務などのルールが明確でソフトウェアが活躍しやすい領域からチャレンジしています。DXするために収益が下がったり事故が起きたりしたら本末転倒ですからね。細心の注意を払いながら改善に取り組んでいます。そういう挑戦的な取り組みができるのも、スタートアップと大企業が一緒に会社をやるメリットだと思いますね。

——たしかに、大企業とスタートアップが組む良さは「安定と挑戦」のバランスかもしれませんね。

やっぱり、三井物産さんがこれまで築き上げてきた信頼の大きさは並大抵ではありません。スタートアップだけでは到底動かせないものを動かす力があります。一方で、スタートアップの良さはスピードです。

世の中に対して大きなインパクトが出せるビジネスを、圧倒的なスピード感で実行する。このダイナミズムがMDMの面白さだと思っています。僕たちがやっているのは金融事業なのでミスは許されませんが、失敗を恐れすぎると何も生み出せないので、組織のレジリエンス力を高めながら、挑戦を続けていきたいですね。

裏表なく、まろやかに。正論を正しく伝えるために心がけていること

——仕事をする上で、大切にしていることはありますか?

「正しく正論を吐く」ことを意識しています。LayerX的な言い方だと「そぼぎ(素朴な疑問)」です。ちょっとした違和感や正論を伝えることで、より良い方向に進んでいくきっかけが作れるので、普段の業務でも、事業や会社の方向性に対してでも、「本当にこれで良いんだっけ?」「ひょっとしたらこっちのほうが良いんじゃないですか?」といったことは意識的に伝えるようにしています。

ただ、正論は伝え方を間違えると誰かを傷つけることにもなりかねません。実際、僕も「表現がキツい」と周りからフィードバックをもらったこともあります。なので、直接話すときは口角を上げて話し、Slackなどテキストで伝えるときはびっくりマークや絵文字を使って、できるだけまろやかになるように気をつけています(笑)

普段のSlackでの様子

——たしかに、丸野さんは日頃から本当にまろやかですよね。

はい、元々ふんわりしたキャラクターです(笑)。そうしている自分が一番心地が良いので。「MDMの取締役」という顔を持つべきなのかも……と、最近少し悩んでいますが、少なくとも会社の仲間に対してキャラクターを使い分けることはないですね。

スキルと志。どこで働くかより、何のためにやるか

——MDMでさらにやっていきたいことは何ですか?

正直、まだやりたいことの1%くらいしかできていない感覚なので、本当にたくさんあります。日本における個人の金融資産は2000兆円あり、その半分は預金として眠っていると言われています。その1000兆円すべてが投資される必要は当然ありません。ですが、1000兆円の1%にアプローチするだけで、10兆円のお金が動き出すんです。それって、日本の経済や社会にとってとても大きなことだと思いませんか?

世の中のためにも、個人の資産形成のためにもなるような商品を、ALTERNAに増やしていきたいと思いますし、投資の世界でもまだまだ“ニッチ”なオルタナティブ投資のことを、もっと多くの方に知ってもらえるように、アプローチしていきたいですね。

もうひとつは、本当に必要とされている場所にお金が集まる仕組みを作りたいと思っています。(MDM代表の)上野さんもよく渋沢栄一の話をしますが、彼が銀行を作ったときの話を読むと感動して。

彼は、個人の家の壺に入っていたお金を銀行に集めて、世の中で必要とされている人や会社に融資することで、今の銀行の機能の礎を作り、日本経済の発展を支えました。もちろん現在も、銀行の融資のシステムはしっかり機能していますが、個人と資金を必要としているところが繋がれる「新しい銀行」のようなものを作れたらと思っています。

——とても面白いですね。

今も株式投資で個人と企業が繋がることはできますが、上場企業にしか投資できません。例えば、すごく応援したいスタートアップ、本当に困っている自治体、著名な建造物など、もっと投資の選択肢が増えたら、世の中も個人のお金に対する価値観もガラッと変わるはず。そういう、世の中のため、人のためになる新しいお金の仕組みを作りたいですね。

MDMで活躍する仲間たちは、みんなスキルと志の両方を持ち合わせています。極論、資産運用に興味はなくても良いですが、日本や世界の大きな課題に対してコミットしたいという思いを持っている方と一緒に仕事がしたいです。

上野さんの受け売りですが、「この会社“で”仕事をする」のではなく「この会社“と”仕事をする」。「どこで働くか」よりもまず、自分の志が前提にある人は、きっとMDMで活躍できると思います。

新しい金融の形を一緒に作る仲間を募集しています!

これまで見たことのない金融事業を生み出すために、MDMで大きな挑戦をしてみませんか?高い志と熱量を持った方とぜひ出会いたいと思っています。


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