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「コーポレート組織はパソコンのCPU」──note流、事業成長を加速させるコーポレートの仕組みづくり

バクラクビジネスカードをはじめ、バクラクシリーズを活用いただいているお客様に、LayerXの経営陣が聞きたいことをインタビューする連載『バクラク顧客探訪』第二弾。

急成長中のスタートアップ企業のCFOにスポットライトをあてて、内部統制の強化やコーポレート業務効率化のために取り組んでいること、心がけていることについて伺います。

今回は「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに、メディアプラットフォーム・noteを展開するnote株式会社取締役CFOの鹿島幸裕さんに、株式会社LayerX取締役コーポレート担当 兼 CEO室長の横田淳が話を聞きました。

IPOに向けた内部統制強化のステップやその考え方、noteのコーポレート効率化の秘訣とは—。


「上場準備のための内部統制」を目的にしない


横田:
まずは鹿島さんのCFOとしての業務内容について、いま注力されていることなどを含めて教えてください。


鹿島さん:
財務経理や経営企画などのコーポレート業務全般に加えて、取締役として会社全体の戦略や方向性などを考えていて、事業責任者や担当者と毎日のようにディスカッションしています。

note株式会社 取締役CFO 鹿島幸裕さん


横田:
時間の使い方は上場前と後で変化しましたか。


鹿島さん:
今申し上げたような業務は上場前から一貫して担当しており、上場後も大きな変化はないですが、上場準備に当てていた時間はIPOしたことで他に振り分けることができるようになりました。具体的には、上場すると四半期ごとに決算発表や開示があり、投資家とのコミュニケーションの時間も増えました。その一つとしていまはIR発信に力を入れています。(IR note マガジン


横田:
今まで社内に向けて使っていた時間を外にも向けなければいけないということで、鹿島さんが手を動かさなくてもまわるように、仕組みづくりやシステム化が必要だったと思いますが、ガバナンス強化の仕組みづくりはどのように進めてこられましたか。


鹿島さん:私がnoteに入社したのは5年以上前で、当時は30名ほどの会社でコーポレート組織はない状態でした。入社時の私のミッションとして上場準備があったので、上場するに足るコーポレート組織をつくることにまず着手しました。

コーポレートが私一人に負っている状態は効率的にもガバナンス的にもよくないため、それぞれの分野で専門性を持ったメンバーを採用し、主幹事証券会社を決めて宿題に対応していくなかで徐々にガバナンスを強化して分業を進めていきました。

上場準備というと少し堅苦しいイメージがありますが、ふり返ってみると、会社が強くなるために必要なプロセスだったと思いますし、改めてよくできた仕組みです。

上場準備にあたっての宿題をこなすうちにガバナンス体制の強化ができるように図られていて、会社としての実力値も自然と上がってきました。そのおかげで、上場企業として特定の誰かに依存せずきちんと業務がまわるような仕組みを構築することができました。


横田:ガバナンスを強化していくうえで特に大変だったことはありますか。

株式会社LayerX 取締役コーポレート担当 兼 CEO室長 横田淳

鹿島さん:上場審査の関係で内部統制やガバナンス体制についての大きな指摘は特になく、テクノロジーの力も借りて比較的スムーズに進められたと思います。

ガバナンス強化というと、どちらかというと守りの施策として、事業部の人からすると面倒な話と思われがちですが、本質的には会社の基盤が強化されることで、さらなる事業成長につながります。

何のために内部統制強化が必要なのか考えたときに、目的を「上場準備のための内部統制強化」としてしまうと、統制を置くことに主眼が置かれてしまい、ルールのためのルールをつくることになってしまう。

そうではなく、目的はあくまで「事業を成長させること」で、そのための内部統制強化、ガバナンス強化だという考え方をすると、単にガチガチに統制を強化したり、会社の実態に合っていないルールを導入したりすることにはなりません。目的にあった最適な仕組みを設計できると思いますし、その点はすごく意識しましたね。


横田:
事業の成長と、コーポレートの動きがつながっていることは大事ですね。


鹿島さん:
事業側との連携ができていないと、上場準備をするぞということで色々なルールを入れた結果、創業社長が不自由さに不満を持って上場を取りやめたり、CEOとCFOが仲違いしたりということもあり得ます。

内部統制は、会社が大きくなり大きな事業成長を成し遂げるには欠かせないもの。「事業成長」が大目的であることをきちんと合意すれば、そのために必要なルールを設計して導入していけると思います。

横田:M&Aで会社を大きくしようとしている会社にはM&Aに即したコーポレートが必要で、新規事業やプロダクトを作って成長する戦略を掲げている会社は、立ち上げをうまくやるチームやコーポレート組織が必要です。会社の成長戦略によってコーポレート組織のあり方も変わってきますよね。

コーポレートは全社に関わるCPUのような存在


横田:
note様のコーポレート組織はどのような体制ですか。

鹿島さん:いま、全社の正社員は170名ほどで、財務経理のチームは4名です。会社の売上や規模が増えていく中でも、できるだけSaaSやテクノロジーを活用して効率的に対応していくことを意識しています。


横田:
以前は上場企業のコーポレートは全社の1割程度が適正ではないかと言われていましたが、テクノロジーを活用したり、仕組みを整えたりすることで生産性をあげている企業も出てきていますよね。


鹿島さん:
コーポレート組織は会社全体の生産性に密接に関わります。

コーポレートは全社員と関わりのある組織です。社員とのやり取りやオペレーションの生産性をあげられれば、すべての社員の生産性が上がることになります。パソコンにおけるCPUのように、この部分の性能が上がると全体の生産性が高まるものだと考えています。

なので、受け身で既存の業務をこなしていくというよりは、積極的にテクノロジーを活用して、自分たちの生産性を上げることで、会社全体の生産性を上げて、事業を伸ばせるようなチームにしていきたいと思っています。

横田:LayerXのコーポレートは、筋肉質な組織ですが、社員数が200名を超えて、そろそろ仕組みや体制を強化していこうと思っているところです。

私のミッションは、CFOとCHROのバリューを2倍、3倍に引き上げることなので、彼らが前を向いて走れるようにサポートしています。たとえば、人員計画・採用計画を管理するHRチームと、予算を管理する管理会計チームがバラバラだと精度の高い予算がつくれないので、その二者の目線を合わせる仕組みが大事です。そこにガバナンスの視点も加えて組み合わせていくことでいいコーポレートチームを作れると考えています。

コーポレート業務の上流を設計する思想


横田:
弊社の「バクラク」もご活用いただいていると思いますが、note様のコーポレートでは他にどのようなサービスを利用されていますか。


鹿島さん:
基本的にSaaSはどんどん使っていきたいと考えていて、クラウド会計システムやHRテック、リーガルテックなど、色々なサービスを活用しています。最近コーポレート系でも様々な領域のSaaSが出てきているので、以前よりすごく便利になってきていると感じます。


横田:
そのなかで、バクラクもご利用いただきありがとうございます。最初に導入を検討いただいたきっかけはなんでしたか。


鹿島さん:もともとクラウド会計システムに付帯の稟議システムを使っていまして、組織が小さいうちは支払依頼に関する業務などはコーポレートで巻き取ってやっていたんです。

ただ、事業も成長して取引先が増えてきたときに、コーポレートだけでは対応が難しくなり、ガバナンスという観点でもきちんと取引先に責任を持つ事業部が支払依頼をあげる仕組みを構築したいと考えていました。

そこで事業部の人が使いやすいようなUIで、稟議から請求書の支払依頼まで一気通貫で連携できるシステムを探していたというのが背景になります。


横田:
貴社の管理ユニットマネージャー平山さんのnote弊社事例インタビューを読み、川上を整えてデータの精度をあげることで、川下の決算や上場会社にとって必要なプロセスをなめらかにしようという発想にすごく共感しました。

私も過去の経験から、上流のデータの精度を高めることが肝だと思っています。予算の消化率が管理できる機能についても言及いただいていましたが、こちらは管理会計や財務会計、コスト管理をきちんとされている企業様にご評価いただくことが多いです。

(購買申請と支払申請を紐づけして消化率を可視化できる)


鹿島さん:あの機能はバクラクで初めて見ました。稟議が上がって承認されていても、実際にどのくらい消化されているのか見えないこともありますよね。「実は従量課金で予算が3ヶ月分足りませんでした」と不足したり、「バッファ込みで稟議をあげていたけどまったく使いませんでした」ということもあるので、可視化されるのはありがたいですね。

横田:ありがとうございます。昨年からはバクラクビジネスカードもご導入いただいています。法人カードをできるだけ使わない方針の企業様もありますが、note様としてはどのようにご利用いただいていますか。


鹿島さん:
カード支払にすれば、振込手数料もかからないですし、キャッシュバックでコスト削減にもなるので、支払手段として幅広く活用しています。

バクラク上だと、請求書支払もカード支払も同じ感覚で申請できて、請求書支払と同じフローで業務を回せるので、カード支払できるものは寄せています。

また、会食の利用など特定の用途での支払が想定される人にはカードを付与すれば経費精算が要らなくなるので、バクラクビジネスカードを渡しています。

管理会計の観点からも、部署や決済するサービスごとにカードを発行して切り分けて使っています。

横田:理想的な活用をしていただいてありがとうございます。数ある法人カードのなかで、どのような点をご評価いただけたのでしょうか。


鹿島さん:
いくつかありますが、一番はやはり予算の消化率が見えることです。バクラクだと請求書支払や経費精算でも同じように稟議と紐づけて消化率が見えるので、会計まわりがシームレスにつながっているという点が大きいですね。


横田:
申請する側からすると消化率がわかるのでコスト意識が高まります。また、予算をつくる側からすると消化率がわかって規律が働きますし、予算作成の精度をあげていこうという力学が働きやすくなるので個人的にも好きな機能です。

テクノロジーをフル活用するコーポレートに


横田:
コーポレート組織として今後取り組まれていきたいことはありますか。


鹿島さん:
コーポレートに限らずなのですが、テクノロジーを積極的に活用して会社全体の生産性を向上させたいと思っています。

最近のトレンドですとChatGPTに代表される生成AIをnoteのサービス自体にも取り入れていまして、社内業務のオペレーションやコーポレート業務の中でも活用を進めています


横田:
会社の中に業務効率化チームなどがあるんですか。


鹿島さん:
特定のチームというよりは、みんなで取り組んでいる状態です。ChatGPTを全員が使えるようにして、その知見をSlack上で共有したり、勉強会を開いたりしています。


横田:
弊社も大規模言語モデルを使っていろんな業務を効率化する事業を探索しています。

私も25年くらいずっとコーポレートの業務をやってきたのですが、良い面もありつつ非効率な部分、改善の余地もあると思っているので、「この25年間なんだったんだ」と思えるような素晴らしいサービスがもっと出てくるといいなと思っています。

最後にnote様からPRされたいことはありますか。


鹿島さん:
今の生成AIの話もそうですが、当社はテクノロジーにかなり投資をしていて、社員向けにも「テックチャレンジ補助」という、技術研鑽のための補助制度などがあります。エンジニアはもちろん、コーポレートの社員含めて全社員が対象です。

社員の技術力を向上させて、テックカンパニーとして伸びていきたいという想いがありますので、このような環境下で働きたい、新しい技術を活用して成長したいと興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご応募をお待ちしています!


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鹿島 幸裕
note株式会社 取締役CFO 
1983年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学MBA。外務省、外資系戦略コンサルティング会社を経て、株式会社カカクコムの食べログ本部において新規事業の責任者や全社の経営企画部長を経験。その後PEファンド投資先の美容室チェーンのCFO兼CAOを経て、2018年にnoteへ入社。noteでは、CFOとして戦略・財務を中心にコーポレート系全般を統括し、数度の未上場ラウンドでの資金調達、事業と組織の拡大を牽引し、2022年に東京証券取引所グロース市場への上場を実現。

横田 淳
株式会社LayerX 取締役コーポレート担当 兼 CEO室長
慶應義塾大学を卒業後、NTTデータを経て、2001年サイバーエージェント入社。執行役員経営本部長としてグループ全体のコーポレート業務に従事する傍ら、ABEMAなど多数の新規事業の立ち上げ、特命案件業務に従事。2017年メルカリ入社。メルペイなどの新規事業を立ち上げた後、メルカリ上級執行役員 SVP of Corporateとして、グループ全体のコーポレート部門を統括。2023年4月LayerX入社、取締役コーポレート担当 兼 CEO室長として、コーポレート部門全体を統括しつつ、アライアンス、エンタープライズ営業等を推進。

今後、BASE様、マイベスト様のCFOインタビューも予定しておりますのでお楽しみに!

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